Omeka Sの導入からアイテム管理、サイト構築、モジュール活用、IIIF連携、API活用までを体系的に学べる実践ガイド
はじめに
本書の目的 Omeka S は、デジタルコレクションの構築・公開を目的としたオープンソースのWebプラットフォームです。ジョージ・メイソン大学ロイ・ローゼンツヴァイグ歴史・新メディアセンター(RRCHNM)が開発・保守しており、世界中の図書館、博物館、美術館、大学、研究機関で広く利用されています。 筆者は、これまでOmeka Sに関する160を超える技術記事を執筆してきました。インストール方法からモジュール開発、IIIF連携、API活用、テーマカスタマイズに至るまで、実際の運用で遭遇した課題とその解決策を記録しています。本書は、これらの実践経験を体系的にまとめ直した一冊です。 Omeka Sに関する日本語の技術書はまだ十分とは言えません。公式ドキュメントは英語で書かれており、日本語環境での導入や運用に関する情報は断片的にしか存在しないのが現状です。筆者は以前、Omeka Sに関する記事のまとめを作成しました。詳細はOmeka Sに関する記事まとめをご覧ください。また、Omeka Sの導入に際して参考になる資料についてはOmeka Sの導入に関する参考資料でも紹介しています。 本書は、Omeka Sの導入から、アイテム管理、語彙の設計、サイト構築、モジュールの活用、IIIF連携、API活用、テーマのカスタマイズまでを体系的に学べる実践ガイドです。各章では筆者が実際に経験した内容を踏まえ、公式ドキュメントだけでは得られない実践的な知見を提供します。 対象読者 本書は、以下のような方々を主な対象読者として想定しています。 博物館・図書館・文書館の専門職員 所蔵資料のデジタルコレクションを構築・公開したい方。Omeka Sの概念を理解し、メタデータの設計からサイト公開までの一連の作業を自ら行えるようになります。技術的な背景を理解することで、外部の開発者との協働やシステム選定もより適切に行えるでしょう。 デジタルヒューマニティーズ研究者 人文学の研究資料をデジタル化して公開・共有したい方。研究プロジェクトにおけるデジタルコレクションの構築基盤としてOmeka Sを活用する方法を学べます。特にLinked Open DataやIIIFとの連携は、研究データの公開と相互運用において大きな力を発揮します。 Webエンジニア・開発者 デジタルアーカイブシステムの構築に携わる方。Omeka SのアーキテクチャやREST API、テーマ・モジュールの開発方法を理解し、要件に合わせたカスタマイズを行えるようになります。 デジタルアーカイブに関心のある学生 図書館情報学、デジタルヒューマニティーズ、博物館学などを学ぶ学生の方。Omeka Sを通じてデジタルコレクション構築の実践的なスキルを身につけることができます。 本書で学べること 本書を読み終えた時点で、読者は以下のことができるようになります。 Omeka Sの全体像を把握し、プロジェクトに適した設計方針を立てられる Docker環境またはサーバ環境にOmeka Sをインストールし、初期設定を行える アイテムとメディアを適切に管理し、一括登録による効率的なデータ投入ができる Dublin Coreをはじめとする語彙の理解と、カスタム語彙・リソーステンプレートの設計ができる 公開サイトを構築し、ページブロックを組み合わせた展示ページを作成できる 主要なモジュールを導入し、Omeka Sの機能を拡張できる IIIF Serverモジュールを活用し、IIIFマニフェストの自動生成と外部ビューア連携ができる REST APIを使って外部システムとデータを連携できる テーマのカスタマイズや独自テーマの作成ができる 本書の構成 本書は全12章で構成されており、基礎から応用へと段階的に進む構成になっています。 第I部: 基礎編(第1章〜第3章) Omeka Sとは何かを理解し、実際にインストールして動かすところまでを扱います。 第1章「Omeka Sとは何か」: Omeka Sの概要、Omeka Classicとの違い、アーキテクチャ 第2章「インストールと初期設定」: Docker環境・クラウド環境での導入手順と初期設定 第II部: データ管理編(第3章〜第5章) Omeka Sにおけるデータの基本構造を理解し、アイテム・メタデータ・コレクションの管理方法を学びます。 第3章「アイテムとメディア管理」: アイテムの作成、メディアの追加、一括インポート 第4章「語彙とメタデータ」: Dublin Core、カスタム語彙、リソーステンプレート 第5章「アイテムセットとコレクション管理」: コレクションの設計と管理 第III部: サイト構築編(第6章〜第7章) ...