アイテムセットの概念
Omeka Sにおける「アイテムセット(Item Set)」は、関連するアイテムをグループ化するための仕組みです。図書館における「コレクション」、文書館における「フォンド(fond)」や「シリーズ」、博物館における「収蔵品群」などの概念に対応します。
アイテムセットには以下の特徴があります。
- 一つのアイテムは複数のアイテムセットに属することができる: たとえば、ある古写真が「明治期写真コレクション」と「東京風景写真コレクション」の両方に属するといった運用が可能です
- アイテムセット自体がメタデータを持つ: Dublin Coreなどの語彙を使って、コレクションのタイトル、説明、作成者などのメタデータを記述できます
- サイトにアイテムセットを割り当てることができる: サイトに割り当てられたアイテムセットに属するアイテムだけが、そのサイトで表示対象となります
アイテムセットの作成
基本的な作成手順
- 管理画面の左メニューから「Item Sets」を選択
- 「Add new item set」ボタンをクリック
- 「Values」タブでメタデータを入力
- 必要に応じて設定を行い、「Save」をクリック
オープン/クローズの設定
アイテムセットには「Open」と「Closed」の2つのモードがあります。
- Open(開放): 他のユーザがこのアイテムセットにアイテムを追加できます
- Closed(閉鎖): セットの所有者と管理者のみがアイテムを追加できます
デフォルトソートの設定
アイテムセット毎のページに表示されるアイテムのソート順は、デフォルトではアイテムの作成日順ですが、変更することも可能です。筆者はOmeka Sでアイテムセット毎のページに表示されるアイテムのデフォルトソートを設定するで設定方法を解説しています。
コレクション設計のパターン
デジタルコレクションの設計にはさまざまなアプローチがあります。プロジェクトの性質に応じて、適切なパターンを選択してください。
パターン1: フラット構造
最もシンプルな構成で、すべてのアイテムを一つまたは少数のアイテムセットに格納します。小規模なコレクション(数十〜数百点程度)で、複雑な分類が不要な場合に適しています。
パターン2: 資料種別による分類
資料の種類ごとにアイテムセットを作成するパターンです。
パターン3: 多次元分類
一つのアイテムが複数のアイテムセットに属するOmeka Sの特性を活かし、複数の観点からの分類を同時に行うパターンです。
このパターンは、利用者が複数の観点から資料を探索できるため、ファセット検索的な利用体験を提供できます。
パターン4: 企画展・プロジェクト単位
企画展や研究プロジェクトに対応するアイテムセットを作成し、既存のアイテムを割り当てるパターンです。企画展用のサイトを作成し、そのサイトに企画展のアイテムセットだけを割り当てることで、テーマ性のある展示サイトを構築できます。
階層構造の表現
Item Sets Treeモジュール
Omeka Sのアイテムセットは、デフォルトではフラットな構造です。階層的なコレクション管理が必要な場合は、Item Sets Treeモジュールの導入を検討してください。筆者は【Omeka S モジュール紹介】Item Sets Treeでこのモジュールの使い方を解説しています。
管理画面上でアイテムセットのツリー構造をドラッグ&ドロップで設定でき、直感的なコレクション管理が可能になります。
アイテムセットとサイトの連携
サイトにアイテムセットを割り当てることで、サイトに表示するデータの範囲を制御します。
サイトへのアイテムセット割り当て
- 管理画面でサイトを選択
- サイトの編集画面で「Resources」タブを選択
- 表示するアイテムセットを選択
サイトのブラウズページには、割り当てられたアイテムセットに属するアイテムだけが表示されます。
複数サイトでの共有
同じアイテムセットを複数のサイトに割り当てることも可能です。たとえば、「古写真コレクション」を「図書館デジタルアーカイブ」サイトと「地域史研究ポータル」サイトの両方に割り当てることで、異なる文脈から同じデータにアクセスできる環境を構築できます。
IIIFコレクションとの関連
IIIF Serverモジュールをインストールしている場合、アイテムセットに対してIIIF Collectionマニフェストが自動生成されます。これにより、IIIFビューアでコレクション内の資料を一覧表示できます。
筆者はOmeka S IIIF Serverモジュールを用いたIIIFコレクションの生成でIIIFコレクションの生成方法を解説しています。
REST APIでのアイテムセット操作
アイテムセットの情報はREST APIからも取得できます。
# アイテムセット一覧の取得
curl "http://localhost:8080/api/item_sets"
# 特定のアイテムセットの取得
curl "http://localhost:8080/api/item_sets/1"
# アイテムセットに属するアイテムの取得
curl "http://localhost:8080/api/items?item_set_id=1"
APIレスポンスの例:
{
"@context": "http://example.com/api-context",
"@id": "http://example.com/api/item_sets/1",
"@type": "o:ItemSet",
"o:id": 1,
"o:is_public": true,
"o:is_open": true,
"dcterms:title": [
{
"type": "literal",
"@value": "古写真コレクション",
"@language": "ja"
}
],
"o:item_count": 120
}
Omeka Classicのコレクション管理
参考として、Omeka Classicのコレクション管理についても触れておきます。Omeka Classicでコレクションを一括削除する方法についてはOmeka Classicでコレクションを一括削除する方法で解説しています。Omeka ClassicからOmeka Sへの移行を検討している方は参考にしてください。
まとめ
本章では、Omeka Sにおけるアイテムセットの概念、作成方法、コレクション設計のパターン、階層構造の表現、サイトとの連携について解説しました。
アイテムセットの設計は、デジタルコレクション全体の構造を決定する重要な要素です。プロジェクトの要件に応じて、適切な分類パターンを選択し、将来の拡張も見据えた設計を行いましょう。
次章では、データを公開するためのサイトとページの構築方法について解説します。