アイテムの概念
Omeka Sにおける「アイテム(Item)」は、デジタルコレクションにおける個々のオブジェクトを表す基本単位です。一点の書籍、一枚の写真、一通の手紙、一つの動画ファイルなど、コレクションに登録する対象一つ一つがアイテムに対応します。
各アイテムは以下の要素で構成されます。
- メタデータ: RDF語彙に基づくプロパティ値(タイトル、作成者、日付など)
- メディア: アイテムに紐づくファイルやリソース(画像、動画、URL、IIIF画像など)
- アイテムセット: アイテムが属するグループ(コレクション)
- リソーステンプレート: 使用するメタデータ入力テンプレート
- クラス: RDFクラスによる資料種別の指定(例:
dctype:Image、bibo:Document)
筆者はOmeka Sの公式マニュアルのアイテムに関する部分を和訳しています。詳細は【Omeka S マニュアル和訳】リソース > アイテムをご覧ください。
アイテムの作成
管理画面の左メニューから「Items」を選択し、「Add new item」ボタンをクリックします。
基本的なメタデータ入力
アイテム作成画面の「Values」タブで、メタデータを入力します。デフォルトでは Dublin Core Terms の語彙が利用可能です。
プロパティの値には、以下の3種類のデータ型があります。
| データ型 | 説明 | 用途例 |
|---|---|---|
| Text | リテラル値(テキスト) | タイトル、説明文 |
| URI | 外部リソースのURI | 典拠ファイルのURI、ライセンスURL |
| Omeka Resource | Omeka S内の別リソースへのリンク | 関連するアイテム、作成者としてのアイテム |
Text の場合は、言語タグ(ja、enなど)を指定することで、メタデータに言語情報を付与できます。言語属性の設定方法については【Omeka S Tips】メタデータの言語属性の設定方法で解説しています。
アイテムの新規登録と各サイトへの自動追加
アイテムを新規登録した際に、各サイトに自動的に追加するかどうかの設定が可能です。この設定については【Omeka S Tips】アイテムの新規登録における各サイトへの自動追加の設定についてで詳しく解説しています。
メディアの追加
アイテム作成・編集画面の「Media」タブから、アイテムにメディアを追加します。Omeka Sは以下の種類のメディアソースに対応しています。
Upload(ファイルアップロード)
ローカルファイルを直接アップロードする最も基本的な方法です。大きなファイルのアップロードについてはOmeka Sにサイズが大きいファイルをアップロードするを参照してください。
IIIF Image
IIIF Image APIのinfo.jsonのURLを指定することで、外部のIIIF画像をメディアとして追加できます。画像データ自体はダウンロードせず、IIIFサーバから動的に取得して表示します。筆者はOmeka SでIIIF画像をメディアとして登録する方法で詳しい手順を解説しています。
動画・3Dモデルの公開
Omeka Sでは画像だけでなく、動画や3Dモデルも公開できます。動画の公開についてはOmeka Sで動画を公開するをご覧ください。3DモデルについてはOmeka Sで3Dモデルを公開するおよびOmeka SのModel Viewerモジュールを試すで詳しく解説しています。
非公開ファイルの取り扱い
アクセス制限が必要なファイルの管理についてはOmeka Sで非公開ファイルを扱うで解説しています。
一括インポート
手作業で一件ずつアイテムを登録するのは、数十件を超えると現実的ではありません。Omeka Sでは、複数のモジュールを使って一括インポートが可能です。
Bulk Importモジュール
筆者が最も多く使用しているのが、Bulk Importモジュールです。CSVファイルを使ったメタデータと画像の一括登録について、複数の記事で詳しく解説しています。
最新の使い方についてはOmeka Sの一括登録用モジュール: Bulk Importの使い方(2024-02版)をご覧ください。それ以前のバージョンについては【Omeka S モジュール紹介】Bulk Import:CSVファイルを用いたメタデータと画像の一括登録(2023-03版)も参考になります。
Bulk Importの設定例についてはOmeka SのBulkImportを使用する際の設定例で具体的な設定内容を紹介しています。CSVファイルを使ったメタデータの一括更新についてはBulk ImportによるCSVファイルを用いたメタデータの一括更新で解説しています。リソースクラスの登録方法や設定の編集についてはBulk Importによるリソースクラスの登録方法・設定編集ほかもご覧ください。
なお、Bulk Importモジュールの不具合に遭遇することもあります。筆者が経験した不具合とその対応方法については、以下の記事で解説しています。
- Omeka S Bulk Importの不具合と改善
- Omeka SのBulkImportモジュールの不具合
- [Omeka S]Bulk Importの不具合対応(ソースコードからのインストール方法を含む)
File Sideloadモジュール
サーバ上に配置した画像ファイルを一括でアップロードしたい場合には、File Sideloadモジュールが便利です。File Sideload: Omeka Sで画像を一括アップロードするで使い方を解説しています。
Pythonを使った一括登録
APIを使ったプログラムによる一括登録も可能です。Omeka Sへの画像一括登録用プログラムでは、Pythonスクリプトによる一括登録の方法を紹介しています。また、Pythonを使ってOmeka Sにメディアをアップロードする方法も参考になります。
MCPサーバーを使った登録
最新のアプローチとして、MCPサーバーを活用した登録方法もあります。MCPサーバーを使って、Omeka Sにリソース(アイテムと画像)を登録するで紹介しています。
TropyからのエクスポートTropy
写真管理ツールTropyからOmeka Sにデータをエクスポートする方法についてはTropyのデータをOmeka Sにエクスポートするで解説しています。
ダミーデータの作成
テスト用にダミーデータを大量に登録したい場合は、【Omeka S・開発】Omeka Sにダミーデータを登録するためのCSVファイルを作成するプログラムを作成しました。が役立ちます。
一括エクスポート
データの一括エクスポートには、BulkExportモジュールを使用します。筆者は【Omeka S モジュール紹介】BulkExport:データの一括エクスポートで基本的な使い方を解説しています。また、アイテムの詳細画面にエクスポート機能を追加する方法については【Omeka S モジュール紹介】BulkExport:アイテムの詳細画面にエクスポート機能を追加するをご覧ください。
特定のアイテムの指定した項目のみをエクスポートしたい場合はOmeka SのBulkExportを使って、特定のアイテムの指定した項目のみをエクスポートするが参考になります。
アイテムの検索と絞り込み
管理画面のアイテム一覧ページでは、キーワード検索、プロパティ検索、クラス検索、テンプレート検索、アイテムセット検索が可能です。独自の検索ページの作成についてはOmeka Sで独自の検索ページを作成するで解説しています。
詳細検索画面で絞り込み項目を限定する方法についてはOmeka Sの詳細検索画面で絞り込み項目を限定するをご覧ください。検索結果に表示する項目を指定する方法についてはOmeka Sの検索結果に表示する項目を指定するで解説しています。
独立した作者データベースの構築
アイテムとは別に、作者(人物)の独立したデータベースを構築し、アイテムとリンクさせる方法もあります。この高度なデータ設計についてはOmeka Sで独立した作者データベースを構築する方法で詳しく解説しています。
まとめ
本章では、Omeka Sにおけるアイテムとメディアの管理方法を解説しました。アイテムの作成、メディアの追加、一括インポート・エクスポート、検索機能など、日常的な運用に必要な操作を網羅しました。
次章では、メタデータの品質を左右する「語彙」と「リソーステンプレート」の設計について詳しく解説します。
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- 【Omeka S モジュール紹介】BulkExport:データの一括エクスポート
- 【Omeka S モジュール紹介】BulkExport:アイテムの詳細画面にエクスポート機能を追加する
- Omeka SのBulkExportを使って、特定のアイテムの指定した項目のみをエクスポートする
- Omeka Sで独自の検索ページを作成する
- Omeka Sの詳細検索画面で絞り込み項目を限定する
- Omeka Sの検索結果に表示する項目を指定する
- Omeka Sで独立した作者データベースを構築する方法
- Omeka Sにサイズが大きいファイルをアップロードする