モジュールの概念

Omeka Sのモジュール(Module)は、コアシステムの機能を拡張するためのプラグイン機構です。地図表示、一括インポート、IIIF対応、全文検索など、さまざまな機能をモジュールとして追加できます。

モジュールは公式サイト(https://omeka.org/s/modules/)やGitHubで公開されており、多くがオープンソースとして無償で利用可能です。筆者はこれまで数多くのモジュールの紹介記事を執筆してきましたが、それらの経験に基づいて、実務で特に有用なモジュールを分野別に紹介します。

モジュールのインストール方法

モジュールのインストール方法についてはOmeka Sモジュールのインストール方法で詳しく解説しています。基本的な手順は以下の通りです。

cd /var/www/html/omeka-s/modules

# モジュールのダウンロードと展開
wget https://github.com/omeka-s-modules/Mapping/releases/download/1.10.0/Mapping-1.10.0.zip
unzip Mapping-1.10.0.zip
rm Mapping-1.10.0.zip

# 所有者の変更
sudo chown -R www-data:www-data Mapping

管理画面の「Modules」ページで「Install」ボタンをクリックして有効化します。

モジュールの一括ダウンロード

多数のモジュールを一度にインストールしたい場合は、筆者が作成した一括ダウンロードスクリプトが便利です。Omeka Sのモジュール一括ダウンロードスクリプトで紹介しています。

モジュール開発のリリーススクリプト

モジュールを開発してGitHubにリリースする際のスクリプトについてはOmeka Sのモジュール開発におけるGitHubへのリリーススクリプトの作成で解説しています。

データインポート・エクスポート

Bulk Import

最も高機能な一括インポートモジュールです。CSV、JSON、XML、TSVなど多様な形式からのインポートに対応し、外部APIやOAI-PMHサーバをデータソースとして指定することもできます。

筆者は複数の記事でBulk Importの使い方を解説しています。最新版の使い方はOmeka Sの一括登録用モジュール: Bulk Importの使い方(2024-02版)をご覧ください。

Bulk Export

アイテムやアイテムセットをCSV、JSON-LDなどの形式でエクスポートするモジュールです。【Omeka S モジュール紹介】BulkExport:データの一括エクスポートで基本的な使い方を解説しています。

File Sideload

サーバ上のファイルを直接取り込むことができるモジュールです。File Sideload: Omeka Sで画像を一括アップロードするで詳しく解説しています。

地図・地理情報

Mapping

アイテムに緯度・経度情報を付与し、地図上にプロットできるモジュールです。Leaflet.jsベースの地図をアイテム詳細ページやページブロックに表示します。

筆者は【Omkea S モジュール紹介】Mappingモジュールで基本的な使い方を、【Omeka S モジュール紹介】Mappingモジュールの使い方(特にCSVインポートモジュールを用いた一括登録)でCSVを使った一括登録方法を解説しています。

テーマとの連携については【Omeka S Theme】Bootstrap 5テーマのMappingモジュール一部対応も参考になります。

Timeline

タイムライン表示を実現するモジュールです。【Omkea S モジュール紹介】Timelineモジュールで紹介しています。

検索機能

Advanced Search + Solr

日本語検索の精度を重視するプロジェクトでは、Solrの導入を強くお勧めします。【Omeka S モジュール紹介】Advanced Search adapter for Solrで設定方法を解説しています。

また、FixCjkSearchモジュールは日本語検索の不具合を修正するために筆者が開発したモジュールです。【Omeka S モジュール開発】FixCjkSearch: Omeka Sの日本語による全文検索の不具合修正で詳しく解説しています。

MroongaSearchモジュールについてはOmeka-SのMroongaSearchモジュールで日本語全文検索を実現するで紹介しています。なお、Mroonga searchモジュールのインストールに苦労した経験もありMroonga search モジュールのインストール(※うまくいきませんでした。)にその記録を残しています。

テキスト翻刻

Scripto

市民参加型のテキスト翻刻(Transcription)を実現するモジュールです。筆者は【Omeka S モジュール紹介】Scripto:転写や翻訳を行うで詳しく解説しています。MediaWikiとの連携が必要ですが、クラウドソーシング型の翻刻プロジェクトに非常に有効です。

Extract OCR

PDFファイルに対してOCRを行うモジュールです。【Omeka S モジュール紹介】PDFファイルに対してOCRを行うモジュール「Extract Ocr」で紹介しています。テキスト検索の対象を広げたい場合に有用です。

ソーシャルタギング

Folksonomy

サイト訪問者がタグを付けられるようにするモジュールです。【Omeka S モジュール紹介】Folksonomy:ソーシャルタギングで使い方を解説しています。

変更管理

HistoryLog

リソースの変更履歴を記録するモジュールです。【Omeka S モジュール紹介】HistoryLog:変更履歴の記録で紹介しています。複数人で運用するプロジェクトでは、誰がいつどのような変更を行ったかを追跡できるため非常に有用です。

OAI-PMH連携

OAI-PMH Repositoryモジュール

OAI-PMHプロトコルによるメタデータハーベスティングのリポジトリ機能を提供します。統合検索システムやポータルサイトとの連携に必要です。

筆者は独自語彙の作成について【Omeka S モジュールカスタマイズ】OaiPmhRepository:独自語彙の作成で解説しています。また、resumptionTokenの不具合への対応についてはOmeka SのOAI-PMHリポジトリのresumptionTokenの不具合への対応をご覧ください。

Deleteレコードの出力については(非標準)Omeka SのOAI-PMH RepositoryモジュールでDeleteレコードを出力してみるで、アイテムが公開されているサイトページのURLの取得についてはOmeka SのOaiPmhリポジトリモジュールにおいて、アイテムが公開されいているサイトページのURLを取得するで解説しています。

OAI-PMHリポジトリからPythonでレコードを全件取得する方法についてはOAI-PMHリポジトリからPythonでレコードを全件取得するもご覧ください。

モジュールの推奨構成

プロジェクトの種類に応じた、推奨モジュール構成の例を示します。

基本構成(すべてのプロジェクト)

  • Bulk Import(一括データ投入)
  • NumericDataTypes(日付型の強化)
  • ValueSuggest(典拠連携)
  • FixCjkSearch(日本語検索修正)

画像コレクション向け

  • 基本構成 +
  • Mapping(地図表示)
  • IIIF Server + Image Server(IIIF対応)
  • Mirador または Universal Viewer(IIIFビューア)

文書アーカイブ向け

  • 基本構成 +
  • Scripto(翻刻機能)
  • Extract OCR(OCRテキスト抽出)
  • CustomVocab(統制語彙)
  • SearchSolr(全文検索)

テーマ更新とモジュール改修

筆者はOmeka Sのテーマ更新とモジュール改修を定期的に行っています。Omeka Sのテーマ更新とモジュール改修で最新の状況を紹介しています。モジュールのアップデート情報についてはOmeka Sのモジュールアップデート情報(2025-03-27)もご覧ください。

まとめ

本章では、Omeka Sのモジュールの概念、インストール方法、主要モジュールの紹介、そしてプロジェクトに応じた推奨構成を解説しました。

モジュールはOmeka Sの機能を大幅に拡張する強力な手段です。プロジェクトの要件に応じて適切なモジュールを選定し、デジタルコレクションの価値を最大化しましょう。

次章では、特に需要の高いIIIF連携について詳しく解説します。

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