はじめに
Omeka Sでデジタルアーカイブを構築する際、メタデータの記述に標準的な語彙を使用することで、データの相互運用性が向上します。今回は、W3Cが策定したPROV-O(PROV Ontology)をOmeka Sに登録する手順を解説します。
PROV-Oは、データやデジタルオブジェクトの来歴(プロヴェナンス)情報を記述するためのオントロジーで、「誰が」「いつ」「どのように」データを作成・変更したかを構造化して記録できます。
前提条件
- Omeka S(バージョン3.0以降)がインストール済み
- 管理者権限でログイン可能
- インターネット接続環境(外部URLからのインポートに必要)
登録手順
1. 語彙管理画面へのアクセス
- Omeka S管理画面にログイン
- 左側メニューから「語彙の一覧」をクリック
- 右上の「新しい語彙を追加」ボタンをクリック
2. 基本情報の入力
語彙の基本情報を以下のように入力します:
| 項目 | 入力値 |
|---|---|
| ラベル | PROV-Oオントロジー |
| コメント | W3C PROV-O (PROV Ontology) - データの来歴情報を記述するための標準オントロジー |
| 名前空間URI | http://www.w3.org/ns/prov# |
| 名前空間の接頭語 | prov |
重要 : 名前空間URIの末尾に#(ハッシュ)が必要です。これを忘れるとプロパティが正しく認識されません。

3. ファイルのインポート設定
Import typeの選択
「URL」を選択します(デフォルトで選択されているはずです)。
File URLの入力
以下のURLを入力します:
このURLは内容交渉(Content Negotiation)に対応しており、Omeka Sが自動的に適切な形式(Turtle)で取得します。
ファイルフォーマット
「Turtle (.ttl)」が自動的に選択されます。変更の必要はありません。
4. 登録の実行
- 入力内容を確認
- 「インポート」ボタンをクリック
- 処理が完了するまで待機(数秒〜数十秒)
5. 登録の確認
登録が完了すると、語彙一覧にPROV-Oオントロジーが表示されます。

クリックして詳細を確認すると、以下のようなクラスとプロパティが登録されているはずです:
主要なクラス:
prov:Entity- エンティティ(物や概念)prov:Activity- アクティビティ(プロセスや行為)prov:Agent- エージェント(人、組織、ソフトウェア)
主要なプロパティ:
prov:wasGeneratedBy- 生成された経緯prov:wasAttributedTo- 帰属先prov:wasAssociatedWith- 関連するエージェントprov:used- 使用したエンティティ
活用例
PROV-Oを使用したアイテムのメタデータ記述例:
トラブルシューティング
インポートエラーが発生する場合
ネットワーク接続を確認
- プロキシ設定が必要な環境では、Omeka Sの設定を確認
URLの確認
https://www.w3.org/ns/prov-oが正しく入力されているか確認- HTTPSでアクセスできない場合は
http://を試す
名前空間URIの確認
- 末尾の
#を忘れていないか確認
- 末尾の
プロパティが表示されない場合
- 語彙の詳細ページで「プロパティ」タブを確認
- 必要に応じて語彙を削除して再インポート
代替インポート方法
URLからのインポートがうまくいかない場合、ローカルファイルからインポートする方法:
- PROV-OのTurtleファイルをダウンロード:
Import typeで「アップロード」を選択
ダウンロードした
prov.ttlファイルを選択してインポート
まとめ
PROV-Oオントロジーの登録により、Omeka Sでデータの来歴情報を標準的な形式で記述できるようになります。これにより、以下のメリットが得られます:
- 相互運用性の向上 : 他のシステムとのデータ交換が容易に
- 透明性の確保 : データの作成・変更履歴を明確に記録
- 信頼性の向上 : データの出所と処理過程を追跡可能
デジタルアーカイブの構築において、メタデータの品質は極めて重要です。標準的な語彙を活用することで、より価値の高いアーカイブを構築できます。
参考リンク
更新日: 2025年8月